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子宮頸がんについて
日本では、毎年1.1万人の女性が子宮頸がんになり、毎年約2,800人の女性が亡くなっています。患者は、20歳代から増え始め、30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も毎年1,200人います。
子宮頸がんは「感染型のがん」の代表で、発症原因のほぼ100%が性交渉に伴うヒトパピローマウイルス(HPV)です。このウイルスは「女性の多くが一生に一度は感染する」といわれるウイルスですが、ワクチン接種による感染予防が極めて有効なことから、日本産科婦人科学会のガイドラインでは、10〜45歳の女性への接種が推奨されています。
わが国では2013年から、小学校6年~高校1年生の女子を対象に定期接種(公費助成)が開始されています。しかし副反応の報道が盛んになり、定期接種は続いているにも関わらず、一時は80%近くあった接種率は現在ほぼゼロであり、世界的にみても極めて低い接種率となっています。
こうしたなか、厚生労働省は2020年に入りHPVワクチンに対する情報提供の在り方を見直し、現在は市町村から接種該当者あてに接種についての通達が再開されています。ただし、国としては“積極的にお勧めしない”方針となっており、いざ通知を受け取っても迷われている方が多いのではないでしょうか。
一方で、このワクチンがウイルス感染予防のみならず、“子宮頸がんの予防に有効である”という研究結果が2020年10月に海外から発表され、ワクチンの有効性対する科学的根拠も積み上がってきています。HPVワクチンは接種によりがんの発症を予防し得る数少ないワクチンと言えますが、その効果と接種後の副反応の可能性を理解した上での意思決定が大切です。
HPVワクチンの詳細に関しては、下記のサイトを参照してください。
HPVワクチンの積極的勧奨の再開
HPVワクチンのキャッチアップ接種
2022年4月1日よりキャッチアップ接種が開始されています。
HPVワクチン接種/相談窓口
当院産婦人科では、HPVワクチン接種/相談窓口を開設しております。
窓口では、ワクチン接種はもちろん、電話相談やメールでも受け付けております。ぜひご利用ください。
HPVワクチン接種相談外来
HPVワクチン無料相談外来(電話でも可)を設けております。時間は月曜日から金曜日の15時からです。ご希望の方は当院産婦人科外来受付までお問合せください。
これまで30分1枠のご対応とさせていただいておりましたが、相談件数やワクチン接種者数の増加に伴い、次のとおり外来枠を増加させていただくこととなりました。
時間 | 外来枠数 |
---|---|
15時 | 2枠 |
15時30分 | 2枠 |
16時 | 2枠 |
16時30分 | 2枠 |
HPVワクチン接種相談メール
HPVワクチン接種相談専用メールとなります。下記の注意事項をご確認のうえ、お気軽にご相談ください。
利用上の注意事項
- メールの内容は、HPVワクチンに関するご相談に限らせていただきます。
その他の内容につきましては、お答えいたしかねますので、ご了承ください。 - 基本的に土・日・祝日は休日明けの返信になります。
- ご相談内容によっては、返信にお時間をいただく場合があります。
- 相談いただいた内容についての秘密は厳守いたします。
- ご相談としていただいたメールは、患者さまのプライバシー保護のため、一定期間保管した後削除いたします。
HPVワクチン接種相談メールでのお問い合わせ
ご相談いただく際は、HPVワクチン接種対象者に関する下記の内容を必ずご記載ください。
- 性別
- 年齢
HPVワクチンのキャッチアップ接種について
キャッチアップ接種とは
積極的勧奨の差控えにより接種機会を逃した方に対して、公平な接種機会を確保する観点から、時限的に、従来の定期接種の対象年齢を超えてワクチン接種を行うことです。
対象者にはお住まいの自治体から個別に情報提供があります。
キャッチアップ接種対象者
平成9年度(1997年度)生まれから平成17年度(2005年度)生まれまでの女子
(平成9年(1997年)4月2日から平成18年(2006年)4月1日までの間に生まれた女子)
キャッチアップ接種の実施期間
令和4年(2022年)4月から令和7年(2025年)3月までの3年間
接種中断者について
キャッチアップ接種対象者のうち、HPVワクチンを過去に1回または2回接種した後、接種を中断し、3回接種のスケジュールを最後まで完了していない方(接種中断者)もキャッチアップ接種の対象者になります。その場合は、接種を初回からやり直すことなく、残りの回数の接種(2、3回目または3回目)を行うことができます。詳しくはお住まいの自治体へお問い合わせください。
HPVワクチンの接種を自費で受けた方に対する費用の助成(償還払い)について
HPVワクチンの積極的勧奨の差控えにより、定期接種の機会を逃した平成9年度(1997年度)生まれから平成17年度(2005年度)生まれまでの方で、定期接種の対象年齢を過ぎてHPVワクチンの任意接種を自費で接種した方には、任意接種の費用の助成(償還払い)がある場合があります。詳しくはお住まいの自治体へお問い合わせください。
キャッチアップ接種に関する厚生労働省からのお知らせ
厚生労働省からのHPVワクチンに関するお知らせは、下記から参照いただけます。
当院でのHPVワクチン接種フローチャート
当院では、次のとおりHPVワクチン接種を行っています。
↑選択して拡大してご覧いただけます
小学6年生~高校1年生相当の方は、HPV9価ワクチン(シルガード9®)・HPV4価ワクチン(ガーダシル®)の接種を公費(無料)で接種できます。高校2年生相当以降の方でHPV9価ワクチン(シルガード9®)・HPV4価ワクチン(ガーダシル®)をご検討されている方は、当院産婦人科外来受付までお問合せください。どちらが良いか迷っている方は、産婦人科専門医によるHPVワクチン無料相談外来(電話でも可)やHPVワクチン接種相談メールを設けていますので、お気軽にお問合せください。ご希望の方は当院産婦人科外来受付までお問合せください。
HPV9価ワクチン(シルガード9®)とHPV4価ワクチン(ガーダシル®)について
子宮頸がん予防のためのヒトパピローマウイルス(HPV)9価ワクチン(シルガード9®)の接種がはじまります【HPV4価ワクチン(ガーダシル®)との比較】
2021年3月より当院でもHPV9価ワクチン(シルガード9®)の接種が可能となりました。HPV4価ワクチン(ガーダシル®)との比較もありますので、ご検討されている方は上記リンクよりご確認ください。
男性へのHPVワクチンの接種について
2020年12月にHPV4価ワクチン(ガーダシル®)が男性にも接種できるようになり、当院でも接種を開始しています。
2021年9月1日時点では、公費負担はないため、自費接種のみになります。ワクチンの接種により肛門がん、中咽頭がんや陰茎がんの原因になるHPVの感染を予防することが期待できます。また、尖圭(せんけい)コンジローマという男女両方の性器にできるイボの予防にも有効です。
9歳以上の男性が適応となっています。なお、HPV9価ワクチン(シルガード9®)は国内では男性は適応となっておらず、男性には接種できません。
当院でのHPVワクチン接種フローチャート(男性)
当院では、次のとおり男性へのHPVワクチン接種を行っています。
産婦人科専門医によるHPVワクチン無料相談外来(電話でも可)やHPVワクチン接種相談メールを設けていますので、お気軽にお問合せください。