膝軟骨損傷
膝など関節には軟骨というクッションが骨を覆っており軟骨同士が接触してスムーズな関節の動きが可能となっています。軟骨には神経も血管もないため、一度壊れると自然に治らず修復再生されません。軟骨には怪我で起こる軟骨損傷と加齢によりだんだん起こる軟骨損傷があり、スポーツなど繰り返すストレスで骨と軟骨が一緒に剥がれる離断性骨軟骨炎、怪我で軟骨が削れたり剥がれたりするいわゆる軟骨損傷、加齢が関与する骨壊死や変形性膝関節症があります。
軟骨をもとに近い状態に戻すための手術治療には自家骨軟骨柱移植術と自家培養軟骨細胞移植術があります。前者は膝のあまり使っていない場所から円柱状の骨軟骨柱を採取して軟骨損傷部にモザイク状に移植する方法で3か月ほどでスポーツ復帰が可能となります。ただし、使える骨軟骨柱の数に制限があるため広範囲の修復はできません。広範囲の軟骨欠損の患者さんには自分の軟骨を採取して、培養し軟骨を作製したうえで移植するという再生医療が保険診療で行うことができ、変形性膝関節症ではない広範囲軟骨損傷には後者の自家培養軟骨細胞移植術が選択されます。
術後は2週から可動域訓練を開始し、3から4週から荷重を徐々に開始します。全荷重歩行は10週になります。現在スポーツ復帰には1年と長期を要します。
作製された培養軟骨