ご案内
臨床工学科は平成5年に診療技術部門内に開設されました。現在は、臨床工学技士4名で業務を行っています。
業務は大きく分けて医療機器管理業務と臨床技術提供業務に大別され、色々な分野で対応できるように、スタッフが満遍なく業務に当れる体制で行っています。
主に、高度医療機器・生命維持管理装置が多く存在する手術室、救急室、血液透析室、医療機器中央管理室、各科病棟・外来、内視鏡室等様々な部署で、医師・看護師・その他医療スタッフと共に活動しています。
医療法改正に伴い、医療機器の安全確保のための管理体制を確保し、医療機器の保守・点検・管理、医療機器安全研修会の企画・実施などを適切かつ効果的に行われるように、より一層医療機器安全管理業務の強化を図っています。
また、ペースメーカ植込み術時のプログラマ操作やシャントPTA術時、ESWL(結石破砕治療)施行時の医師へのサポートなど積極的に治療に参加し、円滑に業務・治療が行なえるように努めています。
院内での活動とは別に、平成26年から、菊川市が行っているまちづくり推進のための住民参加型講座「菊川市まちづくり出前行政講座」にエントリーし、少しでも地域住民の皆様に臨床工学技士という職種を知ってもらうこと、身近に感じてもらうことを目標に講座を開設し、院外での活動にも取り組んでいます。
医療機器管理業務
当院の外来・病棟で使用されている代表的医療機器は臨床工学室での一括中央管理(シリンジポンプ・輸液ポンプ・人工呼吸器・生体情報モニタ・人工蘇生器など)とし、機器の有効的な利用及び安全性を図るため貸出・返却時のメンテナンス業務、各医療機器の定期的な点検・調整・部品交換を実施しています。
また、いまや、駅構内など色々なところで見かけられるようになったAEDをはじめ、除細動器、心電図など生体情報を離れた場所(ナースステーションなど)へ電波を用いて知らせる送信機など病棟に常設されている機器に対しても十分な安全性を確保するため、機器本体の定期的な点検・保守管理を行っています。
合わせて、電波を用いる機器の環境が整っているか、定期的に病棟天井に設置しているアンテナの状況も確認し、電波状態の点検、管理も行っています。
また、院内全体の医療機器に対して不具合が生じた場合、安全に治療が遂行できるよう修理対応も行っています。
更に安全性を確保するため機器購入時の評価・受け入れ検査・安全な動作を維持できなくなった機器の廃棄評価を行うと共に、使用する医療スタッフへ、より安全に扱ってもらうための安全教育・説明会等の医療安全研修会の実施を定期的に行っています。
また、臨床工学技士も医療機器メーカが主催する講習会・研修会に積極的に参加し、最新かつ幅広い知識・技術の習得に努め、信頼性及び安全性の確保を心がけています。
血液浄化関連業務
血液浄化関連業務では主に急性・慢性腎不全患者様が必要とされる人工透析療法が有名ですが、その他に、患者様の病態に合わせて特殊な医療機器を用いた持続緩除式血液濾過透析(CHDF)、血液吸着療法(LCAP、GCAPなど)、血漿成分領域の治療における血漿交換療法(膜分離血漿交換等)等の治療があります。それらの治療が安全に行われるよう、医師と治療方針、条件設定を検討し、治療に必要な装置、部材のセットアップから、治療中の循環動態モニタリング・各装置の操作、治療終了操作の全てを臨床工学技士が行い、安心・安全に血液浄化治療が行われるように努めています。更に、治療を安全に行うため、装置の保守管理も行っています。
これらの業務は、患者様の状態を考慮し、各科依頼により、臨床工学技士が昼夜問わず病棟へ出向し治療に当たっています。
また、特殊な装置を使用し、癌、肝疾患、腎疾患等に起因して貯留する腹水を体外に取り出して濾過濃縮し、得られた自己蛋白溶液をアルブミン製剤等の代わりに再静注するCART療法(腹水濾過濃縮再静注法)等も各科の依頼を受け行っています。
人工透析室業務
人工透析室では、泌尿器科医師を中心に、臨床工学技士と看護師が協働し、主に慢性維持透析の患者様を対象に透析治療を行っています。
10床のベッド数で、月曜日・水曜日・金曜日の週3回の午前、午後の2クールの運用となっています。
当科では、人工透析室の設備、装置全般の管理・操作から患者様への穿刺やシャント管理、受け持ちに至るまで治療全般に関わり、患者様が安全に透析治療を行えるよう日々業務に当たっています。
また、近隣地域の透析医療機関と連携し、災害時迅速に対応できるよう定期的に検討会を開催し、透析患者及びご家族が少しでも安心して透析生活が送れるよう努めています。
体外衝撃波結石破砕業務
当院では2017年8月に体外衝撃波結石破砕装置を導入し、泌尿器科医師のもと臨床工学技士、診療放射線技師、外来・病棟看護師がチームとなり体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を行っています。当科では、装置の準備、治療中の患者様のバイタルチェックや精神的ケア、記録の管理と治療準備から治療中、終了まで全てに関わり、患者様が安心、安全に治療を行えるよう業務に当たっています。
人工呼吸器関連業務
当院では救急処置室と一般病棟用人工呼吸器としてServo s、MONAL T-60という機種の人工呼吸器を使用しています。
人工呼吸器は生命維持管理装置を代表する機器であり、装置・回路の異常・誤設定は患者様の生命に関わります。患者回路のセッティング、使用前・中・後点検をはじめ定期点検、時間毎(5000時間)の部品交換・キャリブレーションを行い機器の信頼性の向上に努め、異常を未然に防ぎ安全に使用できるよう業務に臨んでいます。
人工呼吸器使用中は院内を巡回し、当科で作成した点検リストに沿って呼吸器の動作チェック、使用環境・設定と実測値との誤差の確認を行い呼吸器が安全に使用できる(されている)状態か、動作に異常はないかを点検しています。
各病棟のスタッフへは、随時、人工呼吸器管理上の注意点、呼吸モードの説明、トラブル事例などを挙げた呼吸器の勉強会を開催し、院内全体で理解度を上げながら、安全な運用管理ができるよう心掛けています。